# 近くて遠い国、日本 ―第1回:文化の違い―
こんにちは。
今回から、日本の皆さんがふと気になるであろう「韓国」について、シリーズでお届けしていこうと思います。
韓国では「日本は近くて遠い国」という言葉をよく耳にします。距離はとても近いのに、文化はかなり違う――そんなギャップから生まれた表現なのかもしれません。
というわけで、記念すべき第1回のテーマは「文化の違い」です。
箸の向き、気づきましたか?
空港からホテルにチェックインして、まず向かったのは食事処。お店に入って最初に気づいたのは、箸の置き方でした。
韓国では席から見て縦向きに箸を置きますが、日本では横向きですよね。「向かいに座る相手に配慮して横向きに置く」という話を聞いたことがあるのですが、本当なのでしょうか?

「いただきます」に込められた気持ち
食事の前、日本の方が両手を合わせ、親指で箸を挟んだまま「いただきます」と言う姿は、私にはとても愛らしく映りました。
実は韓国でも、子どもの頃から「いただきます(잘 먹겠습니다)」と挨拶するよう教わりますし、軍隊時代も食事前に大きな声で「感謝していただきます」と言ってから食べていました。ただ、韓国人は外食や外で食べるときには、あまりこの挨拶をしません。
その代わり、誰かの家に招かれたときや、友達の家に遊びに行ってお母さんがご飯を用意してくれたとき、あるいはピクニックで誰かがお弁当を作ってきてくれたときなど、「食事を用意してくれた人」に感謝の気持ちを込めて「잘 먹겠습니다(いただきます)」「감사히 먹겠습니다(感謝していただきます)」と挨拶をします。

外食のときに挨拶をしない理由を私なりに考えてみると、会食では「自分がお金を払って食べている」という感覚が強く、感謝の対象が自分自身になってしまうからではないかと思います。逆に、誰かにご馳走してもらったときは、食後に「잘 먹었습니다(ごちそうさまでした)」と小さく挨拶することもあります。
日本の「いただきます」は、対象がはっきりしないけれど、まるで神様に語りかけているような感覚を受けました。韓国では、人に感謝を伝えるときだけ「いただきます」「ごちそうさまでした」と言う、という違いがあるように思います。
ご飯茶碗、持つ?置く?
食事にまつわるもう一つの違いは、韓国はご飯茶碗を置いたまま食べ、日本は片手に持って食べるという点です。
これは昔、関係がぎくしゃくしていた時期に、お互いの食べ方を揶揄する材料にもなっていたと聞いたことがあります。でも私が思うに、日本の方は箸でご飯を食べるのに対し、韓国人はスプーンでご飯を食べるために生まれた違いなのではないでしょうか。
スプーンを使わないなら、飯茶碗を持ち上げたほうがきれいに食べやすい。逆にスプーンで食べるなら、飯茶碗を置いたままのほうが食べやすいのです。
ちなみに、スプーンでご飯を食べると一口の量が多くなりがちで、ついつい食べ過ぎてしまうという欠点も…。太ります(笑)。
「早く早く」文化は交通機関にも
さて、食事が終わったら移動ですね。移動の場面でも、文化の違いははっきり表れます。
日本ではバス、地下鉄、タクシー、レンタカーと一通り乗ってみたのですが、韓国は公共交通機関にも「빨리빨리(早く早く)」文化が色濃く反映されています。日本とはかなり違いますよね。
日本でレンタカーを運転していて感じたのは、とにかくマナーが素晴らしいということ。4泊5日運転して、クラクションの音を一度も聞きませんでした。みんなが余裕を持って運転しているので、私自身もそのゆったりしたリズムに自然と合わせるようになりました。
これには、韓国の「カーフィルム(スモークガラス)」の規制の緩さも関係しているのではと思います。日本で運転していて感じたのは、どの車の運転手の顔も見えるということ。相手の顔が見え、自分の顔も見られているからこそ、腹が立ってもつい体裁を気にしてマナーを守ろうとする気持ちが働くのかもしれません。一方、韓国の車はフィルムが濃くてお互いの顔が見えないぶん、感情がそのまま運転に出やすいのでは、と考えたりします。
バスや地下鉄を降りるときも違いがあります。日本の方は完全に停車してから席を立って降りる方が多いのに対し、韓国では最寄りの停留所が近づくとボタンを押して席を立ち、出口付近に移動して待機します。「早く降りたい、自分だけゆっくりしていたら他の人に迷惑がかかる」という感覚があるからかもしれません。最近は韓国も完全に停車してから席を立って降りることもあります。
韓国でタクシーに乗ったことはありますか?あちこちからクラクションの音が聞こえてくるはずです。スピードを出す運転手さんもいますし、独り言で愚痴を言っている運転手さんを見たこともあります。こういう部分は、韓国のイメージを少し損ねているのではとも思います。もし韓国の公共交通機関で困った経験をされた方がいたら、この場を借りてお詫びします。「すみません」。
居酒屋でのお作法
公共交通機関を使って観光をして、夜に居酒屋に立ち寄ったら、ここでも文化の違いがすぐに出てきます。
それは「お酒をいつ注ぐか」です。
日本ではこまめに注ぎ足しますが、韓国では相手のグラスが空になったら注ぐのが基本です。これはご存じの方も多いかもしれません。仲の良い友人同士なら、それぞれ焼酎を一本ずつ頼んで自分で注いで飲むこともあります。ただ、会社の人や先輩と飲むときは、グラスが空いたら注いであげるのが韓国の文化です。
また、両手で注ぎ、両手でグラスを持って受け取ります。下の人からは片手で受け取ることもあります。

もう一つの違いとして、目上の人とお酒を飲むときに顔をそむけて飲む文化がありますが、日本にはこの習慣はないですよね。相手が一緒にお酒を飲んでいるのに顔をそむけて飲んでいたら、それは礼儀を尽くしている姿だと思ってください。
実際には、初対面の相手や格式を重んじる場では顔をそむけて飲む方もいますが、最近では年齢の近い者同士なら初対面でも顔をそむけずに飲むことが多いようです。
友人とお酒を飲んだ後、コンビニに立ち寄ったら…コンビニのお話は第2回でお届けします。