Netflix『トングン-呪いの宮-』をもっと楽しむ方法
人は死んだら、どこへ向かうと思いますか?
日本に「この世」と「あの世」という概念があるように、韓国にも古くから「이승(イスン/この世)」と「저승(チョスン/あの世)」という世界観が存在します。
이승(イスン)は私たちが今生きているこの世界、저승(チョスン)は人が死んだあとに向かう世界のことです。韓国の伝統的な信仰では、저승(チョスン)で生前の善行と悪行を裁かれると伝えられています。
しかし、すべての人が저승(チョスン)へ行けるわけではありません。
韓国にも、日本の怨霊伝説に似た話があります。無念や深い恨み、果たせなかった未練によって저승(チョスン)へ行くことができず、この世をさまよい続ける魂がいるというのです。私たちはこうした存在を「幽霊」と呼びます。
では、もし幽霊が見えるとか、その声が聞こえる人がいたら――?
Netflixドラマ『동궁(トングン)』は、まさにこの設定から物語が始まります。

主人公クチョン(구천/クチョン)は幼い頃に生死の境をさまよって以来、現実世界と霊界を行き来できる特別な力を得ます。彼は古くから悪霊を退ける力があると信じられてきた桃の木の枝や、雷に打たれたナツメの木などを使って幽霊を退治します。韓国では昔から、桃の木は邪気を払う神聖な木とされてきました。

ヒロインセンガン(생강/センガン)は、母の故郷に多く生えているという「生姜の木」にちなんだ幼名を持っています。彼女は代々受け継がれてきた特別な力――霊魂の声を聞く力を生まれ持っており、物語が進むにつれて、その出生に隠された秘密も少しずつ明らかになっていきます。
二人は王の命を受け、王世子(次期国王)が暮らしていた宮殿「동궁(トングン)」で起こる奇怪な事件を調査することになります。

『동궁(トングン)』は、韓国の巫俗信仰(シャーマニズム)と伝統説話を土台にしたオカルトミステリーです。
日本では『トングン-呪いの宮-』というタイトルで配信されています。韓国語の発音である「동궁(トングン)」をそのまま用い、副題に「呪いの宮」を添えることで、作品の雰囲気がひと目で伝わるようになっています。



「동궁(トングン/東宮)」は、実際に朝鮮時代に存在した場所です。동궁(トングン)は一つの建物ではなく、王世子が生活し、学問を修め、国政運営を学んでいた一帯全体を指します。現在もソウルの昌徳宮(チャンドックン)を訪れると、동궁(トングン)エリアの跡を見て回ることができます。ここには中心殿閣である重熙堂(チュンヒダン)をはじめ、世子が学問に励み政務を執っていた誠正閣(ソンジョンガク)、観物軒(クァンムルホン)、資善堂(チャソンダン)、丕顕閣(ピヒョンガク)などが建ち並んでいました。
ドラマは、こうした実在の歴史的空間を舞台に、王権をめぐる悲劇と宮中に残された怨霊たちの物語を、緊張感あふれるオカルトミステリーとして描き出します。

韓国の伝統説話とシャーマニズム、そして宮中ミステリーが絶妙に組み合わさった作品が好きな方には、『トングン-呪いの宮-』は十分に満足できる一作だと思います。
現在Netflixでは全8話が配信済みなので、続きを待つ必要なく一気に鑑賞できるのも大きな魅力です。
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